男性がガラスに映ったSNSの分布マップを眺めている

インフルエンサーに影響力はないのか?

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インフルエンサーマーケティング事業に携わっていると、以下のようなコメントを企業から頂く事も珍しくないです。

 

・「売上増加を目的にインフルエンサーをキャスティングしたが、思ったより販売に繋がっていない」

・「イベントの集客を目的にインフルエンサーをキャスティングしたが、集客に繋がっていない」

 

上記のように、インフルエンサーをキャスティングしたが、効果に繋がっている感触がないというコメントを頂く事は多々あります。そうなると、皆さんの脳裏に以下の疑問が思い浮かぶのではないでしょうか。

 

「インフルエンサーに影響力はないのか?」

 

結論から言いますと、そんな事はありません。インフルエンサーに影響力はあります。正直、インフルエンサーに限らず、大なり小なり誰にでも影響力はあります。しかし、影響力の度合いが人によって異なるのです。なぜ「インフルエンサーに影響力がない」と思われてしまうのか。その理由はインフルエンサーへの過度な期待が原因です。

 

極端ですが、例えば新卒で入社した営業マンにいきなり契約を受注する事を期待しますでしょうか。しないですよね、それは新卒の平均的な能力を把握しているからだと思います。しかし、上記のようにインフルエンサーへの期待値調整が正しく出来ていないがために、「影響力がない」という誤った認識に繋がります。

 

インフルエンサーへの過度な期待を引き起こしている要点は以下の2点になります。

 

 

  • フォロワー = ファンの認識違い
  • 影響力度合いの認識違い

 

 

フォロワー = ファンの認識違いに関して

インフルエンサーマーケティングを実施した事がない企業、あるいは、まだ始めたばかりの企業に多いのが「フォロワー = ファン」という認識です。フォロワー(ファン)を多数持つ人であれば集客や物販などへの誘導がしやすいと考えるのです。しかし、「フォロワー = ファン」ではありません。もちろん、フォロワーの中にはファンがいる場合もあります。しかしフォロワー全員がファンである可能性は非常に低いです。

 

ファンは英語の「fanatic」という単語を略した言葉であり、愛好家や熱心な応援者という意味を持ちます。もちらん、ファンにも度合いがあり、何をもって人をファンと呼べるのかは、判断が難しいところではあります。しかし、ファンに共通している事は、特定の人物や集団を応援しているという事だと思います。

 

応援する気持ちの度合いは人それぞれですが、ファンであれば応援したいという気持ちが働くはずです。例えば、応援している人がSNSなどで投稿を行った場合Likeボタンやコメントなどを行うのではないでしょうか。特にLikeボタンは押すだけで簡単にLikeができるため、行動を起こすハードルが低いです。これを考慮した上で、インフルエンサーのフォロワーが本当に全員ファンであった場合、100%とは言わなくても、1投稿に対して非常に高い数のLikeやコメントが付くのではないでしょうか。もちろん、この主張には投稿が見られていない可能性や、アクティブじゃないユーザーの数については考慮されていないですが、それでも現状より高い水準でLikeやコメントがつくはずです。

 

実際のインフルエンサーの投稿を見るとわかりますが、Likeやコメントが付く確率(エンゲージメント率)は総フォロワー数に対して2-3%程度が平均です。かなり多い人でも10%超え程度になります。フォロワーが全員ファンであれば、10%のエンゲージメント率すら低く思えます。インフルエンサーのエンゲージメント率を見れば、インフルエンサーのフォロワー全員がファンではない事がわかります。

 

さて、なぜファンでもないのにフォロワーが付くのでしょうか。それはフォローのハードルが低いからです。金銭などを支払って加入する会員制のファンクラブとは違い、フォローは無料で、ボタン一つ押す事で簡単にできてしまいます。単純に少しでも興味があれば、フォローできてしまうのです。例として自分の好みの容姿をしている人がいたからフォローをするなど、些細な興味がフォローに繋がったりします。そして、インフルエンサーのエンゲージメント率を見る限り、ほとんどの人がファンというよりは興味本位でフォローしている人に該当します。

 

弊社の記事ではないですが、「フォロワー = ファンではない」について記載されている記事があります。「フォロワー = ファンではない」を理解していれば、インフルエンサーマーケティングの戦略の立て方が変わるはずです。

 

影響力度合いの認識違い

影響力を簡単に説明すると、「他人の考え方や、行動を変える力」になります。ですので、影響力の度合いとは、どれ程の人数の考え方や行動を変えられるのかによって異なります。インフルエンサーと言えど、影響力は人によって異なります。前回の記事で大まかな影響力別にインフルエンサーをカテゴリー別に分けました。

 

正直、一人や二人だけでイベントへ多くの人を集客できる人や、多くの人に購入を促す事ができる程影響力を持つ人は芸能人やトップインフルエンサーの方ぐらいです。しかし、それをフォロワー数が1万人〜10万人程度のマイクロインフルエンサーに期待している企業は少なくありません。上記にも「フォロワー = ファンではない」と記載しましたが、フォロワーが多いからといって、全員がファンではないし、集客や販売を確約できるわけでもないです。

 

では、インフルエンサーに何を期待するべきか?

芸能人やトップインフルエンサーを起用する場合は集客や販売への効果を期待できると思います。しかし、全てのインフルエンサーにそれを求めるのは酷です。インフルエンサーをキャスティングする際に一番期待できるのは以下の2点ではないでしょうか。

 

・拡散力

・口コミ

 

拡散力

インフルエンサーのフォロワーの全てがファンではないですが、以下の場合を除いて、多くの人と繋がっております。

 

・フォロワーを購入している場合

・ボットからのフォロー(人ではなく、プログラムによって操作されているアカウント)

 

上記を除くと、インフルエンサーが何かを発信した際に、多くの人にその情報が送信されます。たとえば、Instagramで2万フォロワーを持つ人が発信した場合、2万のアカウントにその発信が届きます。実際に投稿が見られているかどうかは別議論になりますが、フォロワーが多ければ多いほど、拡散力が強いと言えます。

 

口コミ

インフルエンサー、特にマイクロインフルエンサーは特定の分野に特化しているような方が多いです。例としてファッションに精通している方など。そのようなインフルエンサーを一般人がフォローして、自身のファッションの参考にしている方なども少なくないです。特定のジャンルに特化しているインフルエンサーに商品をレビューしてもらう事により、一般的な広告などより信頼性の高い口コミを手に入れる事ができます。

 

例として、ギャルメイクに特化しているインフルエンサーがいるとしましょう。その方にギャルメイク製品をレビューしてもらう事により、インフルエンサー自身の経験や知見などが加わり、信憑性のある口コミに繋がります。

 

上記のように、インフルエンサーをキャスティングする事により拡散と口コミを得られるのが最大のメリットであると認識しています。

 

では、インフルエンサーを起用して集客や販売の促進は出来ないのか?

これもまた違います。結論から言いますと、できます。ただし様々な要素を考慮した上で、しっかりと戦略を立てる必要があります。

 

たとえば、マイクロインフルエンサーをキャスティングする場合、少人数だけ起用して効果を出す事を期待するのは酷です。以前にマイクロインフルエンサーをキャスティングした場合の成功方法について記載しましたが、一つの方法としては人数をかける方法があります。たくさんの人数に口コミしてもらう事により、流行りを演出し、トレンドに敏感な層を巻き込む方法になります。他にも様々な手段がありますが、重要なのは以下の要素を考慮する事です。

 

・自社商品の分析

・キャスティングするインフルエンサーの検討

・告知方法やイベントの設計

 

自社商品の分析

自社商品の分析に関しては、自社商品の魅力や伝達するべきポイントを把握するという意味になります。たとえば、写真映えし、視覚的に訴求できる商品であればInstagramを活用したプロモーションがマッチする可能性があります。しかし、写真で魅力が伝えにくい商品、たとえばFXの宣伝をInstagramで行っても、いまいち魅力を伝える事はできません。しっかりと自社商品を分析し、どのようにプロモーションするのが最適なのかを検討する必要があります。

 

キャスティングするインフルエンサーの検討

インフルエンサーマーケティングを行う際に、キャスティングするインフルエンサーを誰にするかを決めるのはとても大事です。インフルエンサーのイメージと商品のイメージが相違しているのは論外です。インテリアの投稿を普段している人に、いきなりファッションの商品を投稿させても違和感があるだけです。また、インフルエンサーの影響力別に、起用する人数も調整するべきです。

 

告知方法やイベントの設計

最後に告知方法やイベントの設計についても考慮すべきです。例えば、ラグジュアリーブランドであれば、人数を大量にかけて告知すると民衆的なイメージに繋がる危険性もあるため、トップインフルエンサーや芸能人、または選定されたインフルエンサーなどで少人数に抑えるべきです。

 

イベントの集客は特に難しいですが、インフルエンサーが持つファンをしっかりと分析するべきです。そもそもファンを多く持っているのか?どの地域にファンを持つのか?ファンの性別は主にどちらか?など。芸能人レベルであれば、どの地域でも集客できる可能性はありますが、それ以外のインフルエンサーの場合はしっかりと上記を検討するべきです。例えば沖縄で男性に人気のインフルエンサーを東京で開催される女性向けのイベントに招待しても、集客できる可能性は低いです。

 

結局のところ、「インフルエンサーに影響力がない」のではなく、期待値のコントロールや、的確な施策の設計がが必要ですという結論になります。またインフルエンサーをキャスティングした結果、効果に繋がらなかった場合、「インフルエンサーに影響力がない」とまとめてしまうのは酷です。プロモーション方法や戦略の立案に問題があるなど、インフルエンサーマーケティングが成功しなかった理由を分析し、因果関係をしっかりと把握するのが大事です。「インフルエンサーに影響力がない」とまとめている限りは、インフルエンサーマーケティングで成功に近づく日は遠いでしょう。

 

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